先日、某サークルが制作の中止を発表しました。

これ自体は珍しいことではありません。
どのジャンルであっても作品の完成は並大抵のことではないからです。

ただ、どうしたことか今回は荒れる事態になりました。
いったいなぜか。原因はCi-enの有料プランにあります。

詳細は各々で調べて頂くとして、簡単に言うと「有料プランに入ったのにこの結末はあんまりだ」ということです。

ここでサークル対応の是非を論じるつもりはありません。
僕は有料プランに入っていませんし、恥ずかしながら作品の存在自体を知りませんでした。

本記事では「そもそも有料プランの存在自体どうなん?」って話をしていこうと思います。

有料プランについて

そもそも有料プランって何なのか

サークルに月額でお布施をする応援システム。それだけのシンプルなものです。

ただ、サークルは「支援額」や「支援に対する見返り」を自由に設定できるようになっています。

見返りの例
  1. 早期の体験版配布
  2. 早期のCG公開
  3. 限定記事

これが割と曲者でして、ただの「お布施」から「現金と対価の交換」に代わってしまっています。
言ってしまうと、ちょっとしたサブスクなんですよね。

これ自体を悪と断罪する気はありません。収益源があるほど開発がしやすくなるのは事実でしょう。

ただ、そこに果たして純粋な応援という気持ちは残るのでしょうか。
僕はそうは思えません。どうしてもサークルに責任が発生しているようにしか見えないのです。

有料プランは完成を約束させるわけではない

ところで、ユーザーが求める「支援に対する見返り」は何でしょうか。

言うまでもなく完成品でしょう。それ以外はオマケにすぎません。

どんなにサークルが見返りを豪華にしたところで、ユーザーが本当に求めている報酬にはなりません。
だからこそ、有料プランは厄介なのです。

有料プランは完成を確約する契約ではないのに、ユーザーはそれを求めて支援する歪な構造になります。

そもそも同人エロゲーは完成する方が稀と思った方が良い界隈です。

同人サークルは少数精鋭です。
せいぜい数人規模、下手したら1人でやり繰りしているかもしれません。

いずれにせよ有料プランに入るから作品が完成に近づくなどはあり得ません。

責任を求める支援がサークルの負担になっている

ユーザーは完成品を求めているため、進捗が遅いと不満が出るのは当然と言えるでしょう。
そして、場合によっては不満や応援(という名の催促)がサークルに直接ぶつけられます。

  • コメントを見るのが辛い
  • 進捗が思わしくないからci-enの記事を書くのが怖い
  • ci-enの有料プランのための成果物を用意しなければならない

Xをしていると、サークルの嘆きがちらほらと聞こえてきます。

本来であれば、同人エロゲーは自由に作るべきでしょう。
しかし、現状はそれが叶いません。常にプレッシャーと戦っています。

支援のはずが足かせになりえる。それが有料プランの抱える問題なのです。

正しいci-enの在り方を考える

サークルとユーザーの支援に対する意識の差。
それを縮めるためにはまずサークル側がプランを再検討するのが1つの手でしょう。

有料プランを作りこまない

先ほども言ったようにユーザーは完成品を求めており、それ以外はオマケに過ぎません。
であれば、ムリな見返りを約束せず、製作を阻害しないプランにすべきです。

いくつか具体例を挙げましょう。

基本的にゲーム制作を最優先としていますため、満足の行くコンテンツを提供できない可能性もあります。コンテンツの購入というよりは『投げ銭』に近い感覚となりますことを予めご了承ください。

こみなみ様のプラン説明文より抜粋

そのうち先行体験版とかαテスト版とかが出た際に遊ぶことができるようになるかもしれません。 しかし現状ネタがないので、えのきふにサラダをおごるだけというミーム汚染も避けて通るボタンになっています。 この先に進むなら、心して進んでください。

えのきふ様のプラン説明文より抜粋

すごいおっさん扱いを受けられます。 それ以外に何があるというのですか。

男爵領様のプラン説明文より抜粋

大事なのは、有料プランに入ったからと言って何も変わらない。ただの気持ちにしかならない。それをユーザーに意識させることです。

無料プランだけにする

そうはいっても有料プランである以上、なんらかの軋轢を生むかもしれません。
だったらいっそ作らない。そういう選択肢もありではないでしょうか。

実際、有料プランを設けていない大手サークルも多く存在します。(2024年8月1日現在)

  • とらうま商事様
  • 萌工房様
  • しもばしら工房様
  • Nefence@Studio 星渡様

貴重な収益源はなくなりますが、間違いなく製作のストレスは緩和します。
この辺は収益とモチベの兼ね合いで考えるべきでしょう。

ci-enの隠れ機能チップの活用

ここからは僕からユーザーへの提案です。

チップって知ってますか?実はci-enの機能の1つなんです。
そのままの意味ですが、Youtubeのスパチャと考えるとより分かりやすいでしょう。

メッセージ付きで送れる優れもので、かなり使い勝手の良い応援ツールと言えます。

僕は有料プランに加入しない代わりにチップを送るようにしています。
金額は1,000円ぐらい。本当にちょっとした気持ちです。

  • たまたま遊んだ過去作が面白かった
  • 新作発売のお祝いに

完成しない作品に悪戦苦闘するサークルに「新作への期待」を込めた応援はかえってプレッシャーになります。
それならば、これまでの作品に感謝してはどうでしょうか。

これからの期待に投資するのではなく、これまでの感謝を気持ちに。

まとめ

今回はci-enの有料プランが持つ危険性を記事にしました。

お金を得るということは少なからず制限を受けます。
それを苦しいと思うのであれば、有料プランを作らないのも手でしょう。

とはいえ、先立つものは金。その有用性を否定する気も全くありません。

要はサークルが有料プランのリスクを承知し、どこまで計画的に作るかです。

簡単に解決できる問題ではないでしょうが、ユーザーもサークルも満足のいく支援方法が確立されると良いですね。

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