
目次
作品概要
タイトル:アノニマス
サークル:aNTIQ
プレイ時間:12時間
販売価格:1,980円
販売サイト:
シナリオ
ろくな未来のないバッドエンド直行凌辱エロゲー。
ジャンルは鬱ゲーですが、クライミライに耐えられる人なら問題ないと思います。凌辱エロゲーはこうでなきゃって感じではある。
まあ、でも間違いなく人を選ぶ内容です。そういう意味でのB判定。刺さる人には刺さる。
壊された日常を修復するために記憶を取り戻せ

プロローグでは田舎で暮らす鹿島一家と旅行に来た夏葵・由香の心温まる日常が描かれます。
互いに惹かれ合う浩介と夏葵。それを囃し立てる泉水と由香。まるで純愛エロゲーのような微笑ましいシーンが続き、ほっこりしました。
ところが、都会編に突入してからは何もかもがおかしい非日常が始まります。
妹の泉水は引きこもりになり、ほとんど外に出なくなりました。
再会した夏葵と由香も友好的とは程遠い反応。浩介には何が何だか分かりません。
そんな時に届いたのが一通のメールでした。曰く、「お前の秘密を知っている」とのこと。
そして、しばらくして泉水や由香の凌辱写真が送られるようになります。
浩介を偽善者や虚像と嘲笑い、失った記憶を取り戻せば救われると言う謎の存在。
助かるためには自分でさえ忘れている秘密を思い出すしかない。しかし、それは決して開いてはいけないパンドラの箱だったのです。
そんなこんなでミステリー要素の強い内容になっています。
ホラー要素はもちろんスプラッター描写もありません。唐突に現れる泉水にビビるくらい。
結末はどれもこれも救いはありませんが、完全に詰んだ状態でもなく。
緩急のつけ方もうまいんですよね。ずっと暗い話が続くのではなく、間に明るい日常イベントも混ぜています。おかげで途中でお腹いっぱいになってプレイを断念するということはありませんでした。
凌辱エロゲーを普段から嗜んでいる人は意外と耐えられると思います。スクールデイズの方がよほどトラウマになるよ。
一向に見えてこない悪意の源泉アノニマス

タイトルであり、テーマにもなっているアノニマス。
本作では暴漢の名前が明らかになることはありません。それどころか全部で何人いるかも不明です。匿名集団による理由なき暴力が延々と続くのです。
この辺りの得体のしれない恐怖が「サイコ・スリラー 」とされる理由でしょう。正体が分からないものほど恐ろしいものはありません。
黒幕でさえ正体がはっきりせず、予想するための情報が与えられるだけ。ミスリードの可能性もあるから恐ろしい。
巨大で輪郭を掴めない悪に破壊される日常。そんな独特な恐怖が本作の魅力になっています。
ただ、何度も言うようにホラーゲーム特有の怖さはありません。安っぽい表現をすると、人間って怖いねって話です。
登場人物
どいつもこいつも秘密を抱えていて、まともに紹介するとネタバレは避けられません。
そのため、メインキャラクターのみをさらっと紹介するにとどめておきます。
クリアした方はネタバレの部分を追加で読んでください。
鹿島 浩介
粗筋で何となくわかると思いますが、動けば動くほどに浩介は不幸になっていきます。
ただ、何もしなければ浩介以外の誰かが確実に不幸になります。あ、でも、動いても不幸になります。
ぶっちゃけスタート時点で詰んでいます。どんまい。でも、これって鬱ゲーだからさ。
もはや舞台装置でしかない主人公が憐れですらある。本人はすっごい頑張ってるのに空回りしている感が酷い。
でも、本気で頑張ればハッピーエンドに似た何かには辿り着くので彼を信じてあげて下さい。
ネタバレ
平凡な青年であり、狂ったのは妹が死んだから。概ねそれに間違いはありません。
ただ、猫に関してのみ彼の異常性が表面化しています。
生きていた猫を蹴飛ばし、死んでいないのに崖から落としました。
時系列的にこれに妹の死は関係ありません。正常な状態でも憂さ晴らしでやってしまう男なのです。
後の由香への恫喝シーンを見ても分かる通り、彼は典型的な内弁慶、弱者にだけ強く出る臆病者だったわけ。
彼の独白が言い訳がましいのもこれが理由。自分を正当化し、弱者に責任を擦り付けています。
そんな彼が夏葵にだけは正しくあろうとした。こう考えると「END:葵の季節までに」はハッピーエンドと言えるでしょう。
穿った考えをすると弱者になった夏葵を利用して承認欲求を満たしているとも言えますが、流石にそこまで彼を過小評価したくはありません。
滝野 夏葵

思ったよりちょろいクーデレ娘。
自我が希薄ですが何も感じないわけではありません。過去の事情で何かを得ることを意図的に拒絶しているだけです。
言うなれば、彼女は空白のスケッチブックのような存在。彼女を何色に染めるかが本作の副題です。
そんなわけで、メインヒロインではあるものの序盤はあまり印象に残りません。
関わる人間によって個性が増えていくので、後半からは印象がガラッと変わります。彼女の変容を見るのも本作の楽しみの一つと言えるでしょう。
深山 由香

本作のMVP。マジで好き。
天真爛漫で面倒見の良いムードメーカー。
夏葵のことは本当に慕っており、彼女が蔑ろにされると我が事のように怒ります。
都会編では暗い話が続きますが、彼女のおかげで多少は明るくなるから嬉しい。
ネタバレ
凌辱によって性格がねじ曲がった最高に憐れな女の子。
楽しい旅行中に輪姦され、巻き込んだ泉水は死に、狂った浩介に「殺すぞ」と脅される。
挙句の果てに都会編ではそれをネタに暴漢たちの支配下に置かれ、一連の事件の駒役兼ペットにされる始末。
表向きは今まで通りの明るい女の子ですが、内面は憎悪に蝕まれています。これこれ、こういうのを陵辱エロゲーに求めてたのよ。
特に浩介を恨んでおり、ハニトラを仕掛ける際も「気持ち悪い気持ち悪い」と言い続けていますからね。
追い詰められた時の他責ムーブは見ていて気持ちが良い程。なまじメンタルが強いせいで浩介のように記憶喪失になれないのが本当に可愛そう。
鹿島 泉水

びっくり担当。唐突に現れるから本当に心臓に悪い。
都会編では表情がほとんど変わりませんからね。流石は引きこもり。
とはいえ、キーパーソンには間違いありません。一連の事件も彼女の行動次第で変わります。
ネタバレ
まあ、死んでるから無理なんですけどね。鬱ゲーに救いなんてあるわけねーだろ。
神出鬼没で常に表情は変わらない、由香が来た際も面会謝絶。以上の理由により死亡説に辿り着いた人は多いと思います。
都会編の彼女のセリフは全て浩介の妄想なので、実際の出番はほとんどありません。なので、印象にも残らない。
生きていたらもう少しマシな未来があったんでしょうね。
エッチシーン

シチュエーションだけで抜ける。これぞ凌辱ミステリー最大の魅力。
凌辱によって日常が壊されたヒロインが更なる恥辱を受ける。
ある種のセカンドレイプのような連鎖的な悲劇が続きます。
1回のレイプが楔となるシチュエーションが本当に好きなんですよね。鬱要素も増しますが、これこそ凌辱の魅力と言うものでしょう。
ただし、エロシーンのテキスト量は多くありませんし、構図も微妙で一般的な凌辱ヌキゲーと比べると見劣りします。
和姦も多いですからね。まあ、イチャラブとは程遠いものですが。
あくまでシナリオありきのエロさ。アノニマスの世界観が合うかどうかでエッチシーンの評価が大きく変わるでしょう。
とはいえ、1,980円と考えると世界観が合わなくてもそこまで後悔しないとも思う。
ネタバレ考察
責任の所在
元はと言えば由香の軽率な行動のせいなんですが、責任の全てを押し付けるのはあんまりな気がします。
夏葵がJKを自殺に追い込み、さらには従兄も狂わせた。そして、自分自身も病んだ。
そんな彼女を少しでも癒すための旅行だったわけで…。
さらに言うと、浩介が廃墟を案内したのも良くなかった。暴漢が町の有力者の息子だったのも最悪。
綾が豊田を見つけたことも運が悪いし、それを太一に相談したのも悪手。太一は最後まで浩介を黒幕と妄信していました。
そう考えると、まるでピタゴラスイッチのように地獄へと転がり落ちたという他ありません。
「アンタが死んだら全部私のせいになるじゃない!!」
由香のこのセリフは作中でもっとも印象に残りました。結局、どいつもこいつも誰かのせいにしたかったんだなって。
黒幕の正体
どう考えても豊田なんですが、最後まで悪役として登場することはありませんでした。
ぼかした理由はアノニマス、つまり彼も匿名集団の1人に過ぎないと言いたかったからでしょう。
言ってしまうと、アングラ掲示板そのものが黒幕と言えるわけで。沙希子のご主人様もその内の1人なのです。
責任の所在と併せて考えると実に興味深い。何もかもが曖昧ではっきりしない一連の凌辱事件。
暴漢だけでなく被害者ですらアノニマスの一部かもしれない。そんな得体のしれない不気味さがありました。





























